1.需要に見る変化
・バブル化する需要と南の楽園幻想
移住者の年齢層も広範囲になって来た昨今の石垣島ブームに加え、2,3年前から騒がれだした団塊世代の大量リタイヤがいよいよ今年2007年から本格化するという。
そんなこんなで今後、間違いなく急増する団塊移住需要をあてにして土地を売る側からも賃貸を提供する側からもかなり強気の発言が多く聞かれる。
確かに、内地の人々のおメガネにかなう海の見える農振除外地の値段はここ数年右肩上がりを続け、こんな値段で売れるの?との周囲の心配をよそに売り地の看板は外され、草ボーボーだった土地が次々とナイチャー好みなおうちへと変身している。
こうして周囲の坪単価は高値に固定され、更に強気な値付けというバブルチックな循環が場所によっては生まれつつある。
だが、このままド〜ッと大量に定年後の団塊ナイチャーが移住し島はヤマトゥのシルバーアイランド化するのかというと、ことはそう単純ではない。
初めて来ていい所ですね、と言うのと住むということの違いが、まだ今の時点ではキチンと理解されてはいないからだ。
我々はここ数年、こうした移住現場を見ているので、お客様を見て2、3言葉を交わせばどの程度、島の生活がイメージできているのかは大体想像がつく。
そして今、確実に急増しているのは島のことをまったく知らない団塊世代の人たちなのである。
こうした状況からは、移住する本人たち、また受け入れる島社会双方にとって様々な危険な側面も垣間見える。
かなり石垣に通い詰めて好きで移住しても思ったようには行かないのが移住の現実であることは再三、このサイトでも述べてきた。個人の移住ブログが竜頭蛇尾で終わることも多いのは、こうした事情によるものと考えられる。
それが”昔、一度、観光で来たことがある”、あるいは”老後はハワイやカナダを考えてたんだけど、石垣島もいいかな・・・と思い、初めてやってきた云々”といった方々に対して石垣島は本当に理想の移住地として安心して提供できる不動産物件なのだろうか。正直、非常に難しいと思うのだ。
なぜなら、予備知識はメディアのマインドコントロールや来る側の妄想で膨れ上がった幻想部分を多く含んでいるからだ。
この辺りにも移住熱が冷めたらしぼむ”バブル”という表現を使う裏の理由があるのではないかと思う。
・”移住断念組”の登場
一方で、もう少し慎重かつクールに判断する方々も存在する。
定年後を南の島でのんびりと・・・と、簡単に踊らされて石垣島への移住を考えてはみたものの、石垣島は日本語の通じる異国。歳をとってからの移住には乗り越えねばならないカルチャーギャップも多いし、物件探しの苦労や建築の制限も多い。
また、地域との摩擦のほかにもいざ退職してみれば夫婦間での意見の相違も目立つことなどから、ちょっと覚めて考えてみると、もう少し内地の田舎を狙った方がロケーションとして良いのではないか、などと考え直す方々も見られる。
既にブーム化した石垣島という狭い島への移住需要により限られた海の見える高台の地価は高騰、高値の花(?)になりつつあり、景観条例など行政による規制強化の動きや八重山支庁の無力化によって生ずる許認可事項の大幅な遅延などは、移住の具体性を根本的に問い直させてもいるだろう。
この辺りは安易に移住をあおるメディアはどの程度、石垣島の真実を知って移住者たちに正直に伝えているのだろうか?
建築について安易なリコメンドをする業者も同様に思う。お金を払うオーナーとしてはよく確認したほうが良いのではと実情をみて感じる。
また、先般お伝えしたプレ移住で可能性は探ってはみたものの、実際には厳しいことが分かってくると目的地の変更なども視野に入れた動きも見られ、同じ沖縄でも本島や宮古といった場所への目的地を変更した例も聞こえてくる。
引き続き移住熱が過熱する一方で、今までの何がなんでも石垣島ではなくなって来ているのも事実だ。
大量に流れ込む団塊移住の中で、一部ではあるが、すでに石垣島を回避する動きも見られることはここに特記しておく必要があるだろう。
2.供給に見る変化
・土地の部
需給における、そのアンバランス
石垣島の状況を形容する”ミニバブル”。バブルの前に”ミニ”の二文字がつく理由には2つ原因があるように思われる。
ひとつは80年代の本当のバブル期を経験し、21世紀の民はその頃ほど純粋無垢ではなく過去の二の舞は踏まないゾ!という幾分学習済みであるとの自負。
そして、2つ目には、いくら需要が急増したって、所詮小さな島でのお話。動かせる土地自体ほとんどないのだから、絵に描いた餅でしょ?との、ちょっと覚めた背景があるように思うのである。
そうなのである。我々も石垣島の土地を扱ってはいるが、簡単に造り出せるものではない上に、そうそう理想的な土地というものが豊富にあるわけでもない。
いくら石垣島が最高!という全国的な石垣ブランド化が進んだところで、動かせる土地はわずかであり、これが10倍になろうが、100倍になろうが経済全体に与える影響はさして大きくない、そうとも言えるのである。
もっとも将来において今の行政が存続していての話であって、財政が破綻、島全体が根こそぎ売られるという状況になればこの限りではありませんが・・・
従って今後は、少ない土地をめぐっての攻防戦の継続と農振除外をどうするかが土地におけるポイントになるでしょう。
今までのような政治家がらみのグレーな判断では許されず、情勢としては行政主体で移住民まで含めた都市計画、開発のマクロビジョン、ゾーニングといった、透明性のある線引きの確立が急がれているといえます。
しかし、これについて石垣市の慌しい動きは見られず、とりあえず景観保護条例で乱開発だけは阻止しようとの動きのように見えます。
この点については、よくお客様からも北と南で比較され、北海道などは団塊移住者の積極的受け入れを行政主体で取り組んでいるのに・・・とも言われるのですが、石垣市の場合には、ほとんどこちらから来てくださいと言わなくても来るため、お好きにどうぞ、のようなスタンスなのだろう。年金目当てに変な取り組みをしない方がベターだと判断しているというよりは、独自の地域性もあり、与える影響について未だマクロ的には掴みかねているように見えます。
そんな中で迎えた2007年、早期リタイヤ組も含め現実的にはすでに移住者はやって来ているわけです。はて不動産を提供する我々にはどういった選択肢があるのでしょうか?
団塊世代の多くは普通のサラリーマン退職者です。お金はそこそこありますが1000坪もの土地を占有するほど裕福ではありませんし、投資でなく老後の生活に土地を求めていらっしゃるのですから、既存の農振除外地の開発分譲というのがひとつあると思われます。もしくは、団塊世代が終生生活できるケアつきバリアフリーの分譲マンション、グループホーム等が今後、続々出てくるのではないか思われます。
そんなこんなでまだ可能性を探ったり、計画していたりの段階でかなり遅れ気味、需要の現状の前に追いついてないのではないか、というのが率直な感想です。
・アパートの部
濡れてに粟・・・需要に忍び寄る影
島の人たちからは、今からでもアパートを建てて大丈夫か?という質問をよくいただきます。
すぐ造るべき!と即座に建設を薦めた3年前とはアパートを取り巻く環境が異なって来ています。
いくらなんでも、これは造りすぎではないのかと乱立する建築中のアパートを見て一般市民は思っていることでしょう。
現状、完成時にはほぼ満室という新築賃貸物件だが今後の建築予定も含めるとさすがに堅調な需要に支えられた新築賃貸物件もどこかで需要に追いつき供給余剰が生じるのではないか。
賃貸に住む移住者には若い世代も多く彼らのインカムを支えるような雇用の急増もないことから今後、内地から来た移住者の出戻りの増加などが加わり、一挙に空き室が増加、価格崩壊が起こるのではないか?
そんな雰囲気もあるなか、計画は市街地周辺とも言えない遠いところまで島内いたるところでアパート建設の波は及んでいる。
確かに、新空港建設に伴う流入人口による賃貸需要の増加や、リタイア後の生活を浜辺に近い賃貸でという老夫婦など新しい需要が創出されてくるのかも知れないが、はたしてどのくらいの永住需要の増加が見込めるのだろうか。
更には、このせいぜい数年先までの需要予測に対してどうして30年後の家賃保障が可能なのだろうか。ネット社会の一年後は闇、現実社会の公的システムですら5年後はわからないこのご時世である、良く考えてみる必要があるのではなかろうか。
おそらく今の量産型の新築物件については、価格を落として対処せざるを得なくなる時期がやがてやって来るのではないだろうか。
いずれにしても競合するアパートが増えたことで、需要が減少したときにも生き残れるだけの固有の特徴を持ち、単純な潰し合いにならない住み分けは必要な状況にあるとだけは言えるだろう。
もうひとつある別の動き
最近、あまり低価格バージョンの提供はないけれど、高級化ではかなり高価格な賃貸も計画され出現してきています。
そして、まったく今までなかった需要開拓としては、エスタブリッシュメントたちに対しての超高級物件があります。
光バックボーンの整備など情報インフラが整備され20代、30代の若手重役たちが島に居てもネットを使って仕事をするなどというライフスタイルが可能になると、そうした使い道も想定されてくるのでしょう。
かくして石垣島のブランドを活かした超高級化への動き、これも忘れてはいけないのかも知れません。
ヒルズ族にとっては石垣島の少々のミニバブルなど可愛いもの。月家賃20〜30万ほどの賃貸はまったく片腹痛むような出費ではなく、一般島民の住む場所とは城壁によって囲まれた(!?)高級マンション群が出現する可能性もあるかと思われます。
それは今までの八重山の文化とまったく異なる文化圏を島内に作り出すということになるでしょうか。島内あちこちにあるリゾート化計画とともに動向をチェックすべきアイテムでしょう。
3.結び
以上、2007年初頭に石垣島の不動産需給に見られる最近の変化についてリポートしてみましたが、実際メディアで騒がれる2007年問題によって、どの程度変わるのか、または変わらないのかは依然として未知数の部分を多く含んでいます。
将来を正確に予測するのは困難ですが個人的には、新石垣空港着工とともに2007年問題も実際に動き出したことから今年は今まで見えなかった石垣島という氷山の水面下の部分がかなり表面化し問題になる年であろうと思っています。
それは、石垣島移住を目指す方々にとっても自分が移住に何を求めているのかを今一度、問い直すことが求められることでもあり、それに対して提供する側もどこまで沿えるのかを問い、いっそうの努力を強いられる年であることも覚悟しているところです。
最後に石垣島を愛する人々すべての方々にとって2007年が良い年になりますよう願っております。
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